陰陽 五行説



陰陽
中国医学の理論は、古代中国の自然哲学が基礎になり、
陰陽五行説にはじまるといわれています。 
自然界の一切の事物、人体の生理、病理に対する認識、
さらに病気の診断、治療に関 する理解等、あらゆる分野の内容が、
陰陽五行説で説明されます。
 
  例えば、天は陽、地は陰。昼は陽で夜は陰。                   
陰陽は相対的に調和されていてこそ(バランスを保つ)生理状態が
維持で きるのであり、調和が失われる(バランスが崩れる)と、
病気が発生する原因となると考えられていました。
 
 陰陽比較表
   陽 男 太陽    昼 夏 南 気 背 腑 熱 火
   陰 女 月    夜 冬 北 血 腹 臓 寒 水

この陰陽と気血水を組み合わせると 気は陽で血と水は陰です
陰陽のバランスを考えて陰が虚した人には陰を補う漢方薬や鍼を施せば治癒し
陽が実した、勝った人には陽を瀉(しゃ)す治療法が選択できます
瀉すとは汗法、吐法、下法、鍼をツボに刺すなど邪を体の外に追い出すことです

「陽は実し易く陰は虚し易い」と言われています
さらに寒熱を陰陽、虚実と組み合わせると以下の様になります

1、陰虚寒証 (血虚寒証)(水虚寒証)   5、  陽虚寒証 (気虚寒証)
2、陰虚熱証 (血虚熱証)(水虚熱証)   6、  陽虚熱証 (気虚熱証)
3、陰実寒証 (血実寒証)(水実寒証)   7、  陽実寒証 (気実寒証)
4、陰実熱証 (血実熱証)(水実熱証)   8、  陽実熱証 (気実熱証)

実を邪、毒などに置き換えるといっそうイメージがふくらむのではないでしょうか
虚実について(通評虚實論篇第二十八) に
邪氣盛則實.精氣奪則虚.邪気盛んなときは実し、精気奪われるときは虚す。とあります

すなわち、「虚」とは「精気虚」のことを言い、本来体に備わっていなければならない、
「陰、陽、気、血」が「不足している」状態です
一方「実」とは「邪気実」のことを言い、体の中に「あってはならない」何らかの「邪」が
「盛んにある」状態です
邪気には6つ有り風(ふう)、寒(かん)、暑(しょ)、湿(しつ)、燥(そう)、火(か)邪です
 
カゼとは風邪(ふうじゃ)が体内に入った常態をいい 中風(脳卒中)は風にあたると読み
我々の日常生活にも入り込んだ考え方です

実の中に虚があり虚の中にも実が有ることがあります 邪気が極まれば精気が奪われ虚になります

「虚証」と言う場合には、体の中のどの部分、本来あるべき「陰、陽、気、血」の中の、何が、どの程度
「不足している」のかを弁証しなければならず
一方「実証」と言う場合には、体の中のどの部分に、どんな「邪」が、どの程度「存在する」のかを
弁証しなければならないのです。

日本漢方の最大の欠点としていわゆる虚証タイプ、実証タイプ、あるいは中間証もあり
主に、患者の体力、見た目やせているとか 筋肉質、ふとっている、肌の色、子供、老人などで虚実を
分けるということが 当たり前のように行われています
虚実が混在あるいは時間がたつと実から虚に移ろうときはどうするのでしょう 
さらに西洋医学に基づいた病名から薬の選択も平気でなされています
それは 本来の漢方理論からは逸脱したものです  

漢方医学を勉強するにあたって まず虚実の定義づけを明らかにしてからスタートするべきであります
「証」をきめることは仮説を立てることです その仮説に基づいて薬を処方するべきであり
薬が効いて患者の状態が良くなれば仮説が正しかったということになります

相生

五行説 古代中国人は、木、火、土、金、水(もく、か、ど、ごん、すい)という 五つの要素を選んで五行と称しました。 そして、この五つの要素で事物間の相互の現象を説明しようとしました。 五行の相生関係とは、「木が燃えれば火を生じ、火が尽きれば灰、 つまり 土を生じ、土の中からは金属を生じ、金属の表面には水を生じ、 水は木を 成長させる」ということです。 左の図は相生を表わしています。






相克 五行の相剋関係とは、「木は土の中より育ち、土は水を吸収し、水は 火を 消し、火は金属を溶かし、金は木を砕く」という意味があります。 木克土、土克水、水克火、火克金、金克木となり 左の図は相剋を表しています。 五行説は人間と何らかの関係がある現象と物質を木、火、土、金、水の 五つの要素に分類して、その相互関係 を説明しているわけです。 (*素問金匱真言論第四)

五行からみた対人関係


五臓六腑という言葉を聞いたことがあると思います。 五行の木、火、土、金、水がそれぞれに配当されます 五臓は肝、心、脾、肺、腎 六腑は胆、小腸、胃、大腸、膀胱です。 さらに六腑には三焦が加わります。 「怒り過ぐれば肝を傷り、喜び過ぐれば心を傷り、 思い過ぐれば脾(胃 )を傷り、悲しみ過ぐれば肺を傷り、 驚き過ぐれば腎を傷る。」 (素問陰陽應象大論篇第五)
これは東洋医学の五行理論に基づくもので、 五つの臓器(肝、心、脾、肺、腎)の診断、予防、 治療法をうまく表現しています。 五臓と五色(素問金匱眞言論篇第四) 五色とは、青、黄、赤、白、黒の五つの色を指し、先の五臓の病変は この五色の変化を ともなって現れるという考えがあります。 ・肝の病は青く ・心の病は赤く ・脾の病は黄色く ・肺の病は白く ・腎の病は黒く それぞれの色で皮膚に、特に眼瞼に変化が現れるというものです。 これらの五色は当然、はっきりとした色調を伴うものではありませんが、 健康人、あるいは健康な状態の時に比べて相対的な色変が見られるという意味です。 例えば、高血圧の人の赤ら顔、肺を患っている人の白い肌など、現在でも一般的に 知られているようなものもあります。
五臓と五味 酸(すっぱい)、苦(にがい)、甘(あまい)、辛(からい)、鹹( 塩からい)の五つの味を五味といい、 前述してきたこととおなじよう に、五臓とそれぞれ深い関係があります。病気があれば味覚も変わり 、 また、味覚によって食べ物の好き嫌いもわかることから、 問診の一 つの手段として重視されました。 「素問」に、肝その味は酸なり、心その味は苦なり、脾その味は甘なり、肺その味は辛なり、 腎その味 は鹹なり とあります。 東方青色.入通於肝.開竅於目 藏精於肝.其病發驚駭.其の味は酸、 南方赤色.入通於心.開竅於耳.藏精於心.故病在五藏.其の味は苦し、 中央黄色.入通於脾.開竅於口.藏精於脾.故病在舌本.其の味は甘し、 西方白色.入通於肺.開竅於鼻.藏精於肺.故病在背.其の味は辛し、 北方黒色.入通於腎.開竅於二陰.藏精於腎.故病在谿.其の味は鹹し、 (素問金匱眞言論篇第四) これは、 ・酸っぱいものは肝にはいりやすく、肝の衰弱を助ける。 ・苦いものは心にはいりやすく、心の衰弱には苦味は好適である。 ・甘いものは脾にはいりやすく、脾が衰弱したときには甘味を好む。 ・辛いものは肺にはいりやすく、辛味は肺の衰弱に用いるとよい。 ・塩からいものは腎にはいりやすく、鹹味は腎の衰弱には好適である。  ということです。 また(五藏生成論篇第十)
には過食の副作用を述べています。 是の故に 多く鹹を食えば、則ち脉凝泣して而色を變ず。 多く苦を食えば、則ち皮槁れて而毛拔く。 多く辛を食えば、則ち筋急にして而爪枯る。 多く酸を食えば、則ち肉胝して而唇掲ぐ. 多く甘を食えば、則ち骨痛て而髮落つ、此れ五味之傷る所也。 故に、 心欲苦. 肺欲辛. 肝欲酸. 脾欲甘. 腎欲鹹.此五味之合する所也。 すなわち 過食すると ・酸(肝)では肉が疲れ、唇がめくれる。  木克土 ・苦(心)では皮膚がかれ体毛が抜ける。  火克金 ・甘(脾)では骨が痛んで髪が抜ける。   土克水 ・辛(肺)では筋肉がひきつって爪が枯れる。金剋木 ・鹹(腎)では脉が細くなり顔色が悪くなる。水克火 というそれぞれの対応も意味しています。したがって、好きであれば過食の傾向にあるので、 偏食を避け、食事内容の調和を保つことの大切さを同時に教えているわけです。
五臓と五悪(宣明五氣篇第二十三) これも五行説の一つで、五臓に対して気象が影響を及ぼすことを表したものです。 五藏所惡.心惡熱.肺惡寒.肝惡風.脾惡濕.腎惡燥.是謂五惡 -心は熱を悪み、肺は寒を悪み、肝は風を悪み、脾 は湿を悪み、腎は燥を悪む- とあります。 つまり、 ・心の人は熱を嫌い、また暑さに弱い。      ・肺の人は寒さを嫌い、寒さに弱い。(燥 もある)      ・肝の人は風にあたるのを嫌い、風に弱い。      ・脾の人は湿気を嫌い、湿気に弱い。      ・腎の人は乾燥を嫌い、乾燥に弱い。(寒もある) とそれぞれの対応を意味するわけです。 この五臓と五悪の関係は、例えば普段より、 あるいは他人より寒気が ひどくこたえるとき、まず、肺の病かどうかを考えるべきであり、 さらに、肺病のときには寒気をできるだけ避けなければならないことを 同時に教えています。 いずれにせよ、健康を保持するためには、気候の変化に順応すべきで あり、 逆らえば風、寒、暑、湿、燥が五臓に悪影響を及ぼし、病変の原因となるということです。 経絡治療
(宣明五氣篇第二十三)