八味地黄丸の処方構成は 附子 桂皮 熟地黄 山茱萸 山薬 茯苓 沢瀉 牡丹皮 です 古医書である本草備要によれば
附子;温裏薬。辛、熱。有毒。帰心・腎・脾・十二経。@回陽救逆・温陽除湿)。A散寒止痛。 薬理:回陽救逆(亡陽を引き止めて手足の厥逆などの症状を治す作用)、助陽補火(不足した陽気を補う作用)、 散寒止痛(寒邪を除き痛みを止める作用)。本草薬理:辛は能く散じ能く潤し能く横行する。辛・甘は発散し陽 と為す。甘は能く補い能く緩める。大熱・純陽なり。其性は浮に而沈まず。其用は走らず而守らず。十二経を通行し、 至らざる所無し。能く補気薬を引く、以って散失の元陽を復する。補血薬を引く、以って不足の真陰を滋す。 発散薬を引き、オ理を開き、表に在る風寒を逐う。温暖薬を引き、下焦に達し、以って裏に在る寒湿を去る。 適応:亡陽(陽気が非常に不足し危険な病態で流れるような汗が出るなどの症状がある)の証に用いる。 虚寒性(あるべきものが不足して寒象となっている病態)のインポテンツ・宮冷(子宮が寒えて機能が低下 している状態)・[腹の冷痛・泄瀉・水腫などの証に用いる。寒痺(寒邪が経絡などに塞がっている病態で 劇しい痛みなどの症状がある)の証に用いる。 症状:三陰の傷寒、中寒・中風、気厥・痰厥、咳逆・膈噎、嘔N・脾泄、冷痢・寒瀉、霍乱・転筋、拘攣・ 風痺、e~・積聚、督脈の病と為す、脊が強ばり而厥す、小児の慢驚、痘瘡・灰白、癰疽が斂らず、 一切の沈寒、痼冷証を治す。 桂皮;温裏薬。辛・甘、熱。帰脾・腎・心・肝経。 薬理:補火助陽(不足している陽気を補う作用)、散寒止痛(寒邪を除き痛みを止める作用)、 温経通脈(経を温めてあまり通じてない経脈を通じる作用)。 適応:腎陽衰弱(腎陽不足)によるインポテンツ・宮冷(子宮が寒えて機能が低下している状態)・ 虚喘(正気が不足していることにより起こる喘)、心悸(動悸が起こり不安になる症状)などに用いる。 心腹の冷痛・寒疝(手足が冷え麻痺し腹痛する等の症状がある病)による痛み等に用いる。 寒痺(寒邪が経絡などに塞がっている病態で劇しい痛みなどの症状がある)による腰痛・ 胸痺(胸中の閉塞感や胸痛などの症状を主とする病)・陰疽(熱症が少なく深い部位(局部) に出来る化膿性疾患)に用いる。閉経(月経があるべきなのに月経が閉止する病)・月経痛に用いる。 症状:傷風の頭痛、中風の自汗を治す。営衛を調和し、邪をして汗従り出さ使む、而して汗を止める。 亦、手足の痛風・脇風を治す。 熟地黄;補血薬(補益薬)。甘、微温。帰肝・腎経。@養陰滋陰・補精益髄(肝腎・甘微温)。 薬理:補血滋陰(不足している血を補って不足した陰を補い潤す作用)、益精填髄(精を補って髄を 増加する作用)。 本草薬理:甘は能く補い能く緩める。辛・甘は発散し陽と為す。手足の少陰心・腎経、厥陰肝・心包経に入り、 腎水を滋し、真陰を補い、骨髄を填し、精血を生じる。耳を聡くし目を明らかにし、髪を烏くし髭を烏くす。 適応:血虚による萎黄(皮膚などが燻んで艶がない状態)・眩暈(目がカスミ頭や目がまわる症状)・ 心悸(動悸が起こり不安になる症状)・不眠・月経不順・崩漏(不正性器出血などの病)などの証に用いる。 腎陰不足(腎にあるべき陰が不足している病態)による潮熱(潮水のように毎日一定の時間に発熱する症状)・ 骨蒸(体の深部から蒸されるような熱感がある等の症状)・盗汗(眠ると汗が出る症状)・遺精(精液が 睡眠中に漏れる病)・消渇(多飲や多食や多尿などの症状がある病、例えば糖尿病などの病)などに用いる。 肝腎精血虧虚(肝と心にあるべき精血が不足している病態)による腰膝の酸軟(だるく痛み軟弱な症状)・ 眩暈(目がカスミ頭や目がまわる症状)・耳鳴・鬚髪早白(若いけれど鬚や髪が白い症状)などに用いる。 症状:労傷の風痺、胎産の百病を治す。血を補う上剤と為す。 山茱萸;収渋薬(補益薬・補陽薬)。辛・温、酸渋、微温。帰肝・腎経。補益肝腎。収斂固渋。 薬理:補益肝腎(肝と腎にあるべきものを補益する作用)、収斂固渋(正気の耗散などを引き止める作用)。 本草薬理:辛は能く散じ能く潤し能く横行する。辛・甘は発散し陽と為す。 腎を補い肝を温め、精を固め気を秘め、陰を強め陽を助け、五蔵を安かにし九竅を通じ、腰膝を暖め小便を縮める。 適応:肝腎虧虚(肝と腎にあるべきものが不足している病態)による頭暈(頭がクラクラする症状)・ 目眩(メマイなどの症状)・腰膝の酸軟(だるく痛み軟弱な症状)・インポテンツなどに用いる。 遺精(精液が睡眠中に漏れる病)・遺尿(小便を失禁する病)に用いる。崩漏(不正性器出血などの病)の 下血、月経過多に用いる。大汗不止(大量の汗が出て止まらない症状)・体虚虚脱(あるべき気が足し機能が 低下して脈が頻数で大量の汗が出るなどの症状)の証に用いる。 症状:風寒の湿痺、鼻塞・目黄、耳鳴・耳聾を治す。 山薬;補虚薬・補気薬(補益薬)。甘、平。帰脾・肺・腎経。@益気養陰・補脾肺腎(脾肺腎・甘)。 薬理:益気養陰(不足した気と陰位にあるべきものを補う作用)、補脾肺腎(脾と肺と腎にあるべきものを 補う作用)、固精止帯(精の漏出と帯下を止める作用)。 本草薬理:甘は能く補い能く緩める。辛・甘は発散し陽と為す。脾肺の二経に入り、其不足を補う。 其虚熱を清め腸胃を固め、皮毛を潤し痰涎を化し瀉痢を止める。肺は腎の母と為す。故に又、腎を益し 陰を強める。虚損・労傷を治す。脾は心の子と為す。故に心気を益すに用いる。健忘・遺精を治す。 適応:脾胃虚弱(脾胃にあるべきものが不足して脾胃の働きが低下している病態)の証に用いる。 肺腎虚弱(肺と腎にあるべきものが不足して機能が低下している病態)の証に用いる。陰虚内熱 (陰分にあるべきものが不足して内に熱邪がある病態)による口渇・多飲に用いる。 症状:虚損・労傷を治す。健忘・遺精を治す。 茯苓;利水滲湿薬(利水退腫薬)。甘・淡、平。帰心・脾・腎経。@利水滲湿。A健脾。A安神。 薬理:利水滲湿(水湿を小便から出す作用)、健脾安神(脾胃の働きを正常にして心神の不安を治す作用)。 本草薬理:甘は能く補い能く緩める。辛・甘は発散し陽と為す。脾を益し陽を助け、淡を滲ませ竅を利し、 湿を除く。色が白きは肺に入り熱を瀉し而下では膀胱を通じる。心を寧らかにし気を益し、営を調え衛を 理しBを定め魂を安らかにする。 適応:各種の水腫(体内に水湿が停滞して浮腫する等の症状がある病)に用いる。脾虚(脾にあるべきものが 不足して機能が低下している病態)による諸症に用いる。心悸(動悸が起こり不安になる症状)・不眠に用いる。 症状:憂恚・驚悸、心下の結痛、寒熱の煩満、口焦・舌乾、咳逆・嘔N、膈中の痰水、水腫・淋瀝、泄瀉・ 遺精を治す。小便が結すれ者能く通じ、多けれ者能く止める。津を生じ渇を止め、熱を退け胎を安らかにする。 沢瀉; 利水滲湿薬(利水退腫薬)甘・淡、寒。帰腎・膀胱経。@利水滲湿・泄熱(腎膀胱・甘淡寒) 薬理:利水滲湿(水湿を小便から出す作用)・泄熱(熱を外に出す作用)。 本草薬理:甘は能く補い能く緩める。淡は能く竅を利し能く滲泄する。淡味は滲泄し陽と為す。膀胱に入り、 小便を利し、腎経の火邪を瀉す。功は専ら湿を利し水を行らす。 適応:水腫(体内に水湿が停滞して浮腫する等の症状がある病)・小便不利・泄瀉(水様性の下痢などの病)・ 淋濁(混濁尿があるなどの淋症状がある病)・帯下(膣より稀い液が出る等の症状が有る病)・痰飲(津液が 凝集して痰を生じた病態)などに用いる。 症状:消渇・痰飲、嘔吐・瀉痢、腫脹・水痞、脚気・疝痛、淋瀝・陰汗、尿血・洩精、湿熱の病を治す。 湿熱が既に除けば則ち清気は上行する、又能く五蔵を養い、気力を益し、陰気を起こし、虚損を補い、 頭旋を止める。耳を聡し目を明らかにする功が有る。 牡丹皮;清熱涼血薬。苦辛、微寒。帰心・肝・腎経。@清熱涼血・活血散M(心肝・苦辛微寒)。 薬理:清熱涼血(熱邪を除き血分にある熱邪を冷やす作用)、活血散M(正常に流動してない血を活発に 通利してM血を除く作用)。 本草薬理:甘は能く補い能く緩める。辛・甘は発散し陽と為す。手足の少陰心・腎経、厥陰肝・心包経に入り、 血中の伏火を瀉す。血を和し血を涼し而血を生じ、積血を破り、経脈を通じ、吐衂の必用の薬と為す。 適応:斑疹(さすっても手に触らなく紅〜紫色の斑点がある皮膚病)・吐血に用いる。温邪傷陰(温邪により 陰分にあるべきものが消耗された病態)、陰虚(陰分にあるべきものが不足した病態)による発熱に用いる。 血滞(血の行りが悪くなっている病態)による閉経(月経があるべきなのに月経が閉止する病)に用いる。 癰瘡(大きく腫れ根は浅く痛みが強い局部の化膿症)の腫毒(腫れを起こす毒)・腸癰(虫垂炎などの 腸化膿の症状が有る病)による腹痛に用いる。 症状:中風、五労の驚癇・ネを治す。煩熱を治し、癰瘡を療し、胞胎を下し、無汗の骨蒸を退ける。